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東京理科大学 高島研究室
Office & Media for Creative Team Work
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プロトタイプを擬人化しユーザと対話させることで率直な意見を取得する手法

Posted on 2025年1月27日2025年1月27日

概要

本研究では、試作品の使用感を評価する際(=ユーザテスト)に感想を自由に話せるよう、試作品を擬人化し、ユーザがより率直な意見を述べやすくする手法を提案しました。

新しい手法では擬人化された試作品(今回はペイントソフト)がユーザと対話することで、人間の開発者と話すよりも自由に感想を言える環境を作り出すことを目指しました。実験の結果、擬人化された試作品との対話により、総発話量や使い勝手に関する言及が増加し、より感情を表す発言も抽出できました。

研究の意義・動機

従来のユーザテストではユーザが操作しながら発話することで、ユーザの感情や思考を取得します。そのため、記憶の影響を受けない代わりに、話しにくいというデメリットがありました。
それを解消するために、実際の現場では人間が介入する事例も多くありますが、開発側の人間が対話相手だとユーザは気を遣ってしまい、率直な意見が得られないまま淡々と対話が進みます。

率直な意見が得られないと、利用時のユーザの感情がわかりません。感情は思考や行動に影響を与えるため、感情が把握できないと試作品の改善点が抽出できなくなってしまいます。
そこで本研究では、試作品を擬人化することに着目しました。ユーザが試作品そのものと話すことで、開発側の人間なしでユーザテストできる状況を作り、より自由に意見を述べられるようにすることを目指しました。

提案手法

ペイントソフトを試作品にし、音声合成したセリフを再生することで音声対話機能を実装。

画面上にカーソルを追う目を配置することで、擬人化された試作品とユーザが対話できる環境を作り出しました。

結果と展望

実験の結果、擬人化された試作品と対話することで、より多くの発話が得られ、使い勝手に関する指摘も増えました。また、発話内容も従来の人間相手では現れなかった感情をより露わにする発言が多くみられ、率直な意見を抽出できました。

今後はわざととぼけるなど、性格を付与させることで、目的に合わせたフィードバックを得られるよう改良を進める予定です。この研究により、ユーザーが気兼ねなく意見を述べられる環境が作られ、試作品の改善に役立てられることが期待されます。

執筆者:吉松

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